行政書士小林祐太朗事務所
永住ビザとは
永住ビザとは、一定の要件を満たした外国人の方が、母国の国籍はそのままで、日本に長期間住み続けることができるビザです。
帰化との大きな違いとして国籍が日本国籍ではなく、母国の国籍のままとなります。
日本在住の外国人の方の多くが、帰化と同じく最終目標としているビザであると思います。
永住ビザの要件
① 素行が善良であること
●
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に避難されることのない生活を行っていること。
例えば、交通違反が多ければ不許可のリスクが高くなります。
②
独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
●
日常生活において公共の負担(生活保護の受給等)にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
許可の目安として、就労ビザからの永住許可申請の場合、年収として、概ね『300万円』以上が必要となります。
また扶養する家族がいる場合は家族一人につき+70万円が必要です。
例えば、外国人本人と扶養する配偶者、子供が一人いる場合には『300万円+70万円+70万円で440万円』以上必要になります。
また、この年収は申請する直前の年収だけではなく、過去から継続して条件をクリアしている必要があります。
③
法務大臣が日本国の利益に合すると認めたこと
●
原則として引き続き10年以上日本に在留していること。ただし、この期間の内、就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していること。
例えば、留学ビザで6年在留しその後就労ビザで4年在留している場合では、合計10年在留していることにはなりますが、就労資格又は居住資格をもって5年という条件がクリアできていないため、引き続き1年 就労ビザでの在留が必要となります。
●
罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。納税義務等公的義務を履行していること。
国民年金、国民健康保険、住民税などをきちんと納付していること。納付していることはもちろん、納期限を守っていることも重要で、万が一納期限を守っていない場合は不許可となります。
●
現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留し ていること。
現在の最長在留期間は「5年」ですが、実務運用上は、「3年」でも当該条件を満たすものとして取り扱われています。
●
公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
感染症患者でないことや、ゴミ屋敷に住んでいないことなど
引き続き10年以上日本に在留して いることについての特例
永住ビザを申請するためには許可要件として10年間日本に住んでいなくてはいけませんが、下記に当てはまる方は10年間住んでいなくても申請することができます。
①
日本人、永住者又は特別永住者の配偶者、実子又は特別養子
●
配偶者については、実態を伴った婚姻が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していることで申請が可能となります。
●
実子又は特別養子については、引き続き1年以上日本に在留していることで申請が可能となります。
●
素行善良要件及び独立生計要件に適合することを要しません。
②
高度専門職
●
高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に、70点以上を有する者は高度人材外国人として3年以上継続して日本に在留していることで申請可能となります。
●
高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に、80点以上を有する者は高度人材外国人として1年以上継続して日本に在留していることで申請可能となります。
●
高度専門職ビザ以外の就労ビザを取得してい場合で あっても、ポイント計算を行い上記の点数の条件を満たしていれば、みなし高度専門職として申請することが可能です。
③
難民の認定を受けている者、インドシナ定住難民、定住者
●
定住者の在留資格を付与された後、引き続き5年以上日本に在留していることで申請が可能となります。
※
日本人、永住者又は特別永住者の養子(特別養子を除く)は在留年数に関する特例はありませんが、素行善良要件及び独立生計要件に適合することを要しません。
帰化との違いについて
帰化と同じように日本に長く住み続けることができる永住ビザですが、帰化との違いについては以下の通りになります。
永住ビザ
帰化
在留資格に関する手続き
外国籍のままなので外国人登録や、長期出国の際の再入国許可手続等をする必要があります。
また、在留期限の更新の必要はありませんが、在留カードの更新は7年ごとに必要です
日本国籍を取得し日本人となるので、在留資格に関する手続きの必要はなくなります。
国籍
外国籍のまま
日本国籍となる
戸籍
日本の戸籍は取得できない
日本の戸籍を取得できる
選挙権・被選挙権
一部の自治体を除きなし
あり
強制退去処分に関する取扱い
日本国籍を取得し日本人となるため、強制退去処分となることはない
退去強制事由に該当する場合は強制退去処分の適用あり
以上が永住と帰化との具体的な違いになりますが、やはり一番大きな違いとしては日本国籍を取得するかどうかというところになります。
帰化により日本国籍を取得すればパスポートも日本のものとなり、日本が査証免除協定を結んでいる、協定国ではビザなしで旅行などに行くことができたり、その他参政権や戸籍の取得など日本人と同等の権利を得ることができます。
永住ビザの場合は外国籍のままなので、日本から出国し、再入国する場合には必ず再入国許可(みなし再入国許可)を得なければならなかったり、強制退去処分の適用があったりとデメリットも多くあると感じられますが、帰化により一旦日本国籍を取得してしまうと、再び母国の国籍を取得することが難しくなる可能性もあるため、将来母国に帰国する予定のある方など母国の国籍を維持したい方は帰化ではなく、永住ビザを取得するほうがいいかと思います。
永住ビザ取得の流れ
一般的な手続きの流れは下記のとおりです。

必要書類の収集
※
職場や役所、母国などから申請に必要となる書類を収集します。

入国管理局へ永住許可申請
※
入国管理局のHPでは、標準処理期間は「4ヶ月」と記載されていますが、実際の審査期間は約6ヵ月~12ヵ月程度かかる場合が多いです。

許可・入国管理局で在留カード受け取り
在留資格変更許可申請の手続きについて
永住許可申請の場合、その他の在留資格と比べ、必要となる資料が多くなります。
入国管理局で公開している申請人の方が,日本人の配偶者,永住者の配偶者,特別永住者の配偶者又はその実子等である場合の永住許可申請の必要添付書類は下記のとおりです。
1
永住許可申請書 1通
2
※
※
※
申請前3か月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの。
写真の裏面に申請人の氏名を記載し,申請書の写真欄に貼付して下さい。
16歳未満の方は,写真の提出は不要です。
3
身分関係を証明する次のいずれかの資料
(1)
申請人の方が日本人の配偶者である場合
配偶者の方の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通
(2)
申請人の方が日本人の子である場合
日本人親の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通
(3)
申請人の方が永住者の配偶者である場合
次のいずれかで,婚姻関係を証明するもの
a
b
配偶者との婚姻証明書 1通
上記aに準ずる文書(申請人と配偶者の方との身分関係を証するもの) 適宜
(4)
申請人の方が永住者又は特別永住者の子である場合
次のいずれかで,親子関係を証明するもの
a
b
出生証明書 1通
上記aに準ずる文書(申請人と永住者又は特別永住者との身分関係を証するもの) 適宜
4
申請人を含む家族全員(世帯)の住民票 適宜
※
個人番号(マイナンバー)については省略し,他の事項については省略のないものとするようお願いします。
5
申請人又は申請人を扶養する方の職業を証明する次のいずれかの資料
(1)
会社等に勤務している場合
在職証明書 1通
(2)
自営業等である場合
a
b
確定申告書控えの写し 1通
営業許可書の写し(ある場合) 1通
※
自営業等の方は,自ら職業等について立証していただく必要があります。
(3)
その他の場合
職業に係る説明書(書式自由)及びその立証資料 適宜
※
申請人及び配偶者の方お二方とも無職の場合についても,その旨を説明書(書式自由)に記載して提出してください。
6
直近(過去3年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料
※
源泉所得税及び復興特別所得税,申告所得税及び復興特別所得税,消費税及び地方消費税,相続税,贈与税に係る納税証明書(その3)については,令和元年7月1日から申請時に提出を求めていますが,令和元年6月30日までに申請された方についても,審査の過程において求める場合がありますので,あらかじめ御承知おき願います。
※